いわゆる「小慢事業法制化」を含む「改正児童福祉法」(児童福祉法の一部を改正する法律案)は第159国会に閣法34号として上程されていましたが、第161国会において法案の一部を修正のうえ全会一致で可決成立し平成16年12月3日に公布されました。 同法案は児童虐待等の問題に適切に対応できるよう「児童相談に関する体制の充実」「児童福祉施設、里親等のあり方の見直し」などを盛り込んだ法案であり、“小慢事業”は同法案の中の一つの項目です。 “小慢事業”に関係する条項は自治体の電算システムの修正や患者・家族に対する周知・手続き面などを考慮して、施行は平成17年4月1日からとなりました。 第161国会・厚生労働委員会の審議では、年金問題、中越地震、厚労省・社会保険庁の不祥事など大きな問題が重なったこと、また同法案の審議に限っても、幼い兄弟が死亡した「小山事件」など児童虐待問題が社会問題化していることなどからそちらが審議の重点となり、“小慢事業”について十分な審議が尽くされたとは言えない感があります。 また内容についても、法制化自体や関連福祉サービスなどの前進面がある一方で、幾つもの問題点、懸念事項が民主、共産、社民など野党議員から指摘されました。 実施に際しての詳細は今後の厚労省の「通知」によるとしていますが、答弁から判断するかぎり、自己負担額は「親の会ニュース」21号6ページの表の内容とほぼ同様と思われます。 また、20歳以降については厚労省としては実態を把握していない実情を認めています。こうした中で患者と家族を支える安定的な制度として、児童福祉法に依るのではなく別の基本法案を作るのが筋との指摘もされていて、“小慢事業”を脱した20歳以上の患者をどうするか、が患者団体からの強い要望であることが国会でも提起されています。 参考までに、同法案の採択にあたって参院・厚生委員会の全会派が一致して決議した「特別決議」のうち、“小慢事業”に関係する9項~11項を以下に引用しておきます。 【特別決議】 九、小児慢性特定疾患治療研究の一層の推進を図るとともに、児童虐待の予防、虐待された児童に対するケア、養育者へのカウンセリング等に資する医学的・社会学的研究についてもその充実を図るため、予算面・人員面で十分な配慮を行うこと。 十、小児慢性特定疾患対策については、法制化に伴い制度の周知徹底及び事務手続の簡素化を図るとともに、自己負担の導入が保護者に過重な負担とならないよう十分配慮すること。また、必要に応じて継続した治療が受けられるよう成人の難病対策との連携を可能な限り図るとともに、福祉サービスの充実についても取り組むこと。 十一、小児慢性特定疾患治療研究事業の在り方について引き続き検討を続けるとともに、患者団体、医療機関関係者及び専門家、自治体等の関係者の意見を十分踏まえ、必要に応じ制度の見直しを行うこと。 右決議する。 この法案に対する感想、ご意見等をお寄せください。