<保険加入状況に関するアンケート>の結果報告 (PDFファイルはこちら) 大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学      新宅治夫 東北大学大学院医学研究科遺伝病学            松原洋一 国立成育医療センター研究所成育医療政策科学研究部 原田正平 フェニルケトン尿症親の会 過日実施いたしました「保健加入状況に関するアンケート」には多くの会員の皆様のご協力をいただくことができました。ありがとうございました。アンケートの集計結果について報告いたします。 ※アンケートの回収状況 発送 337通・回収 208通(回収率62%)・有効回答 204通(有効回答率61%・ 平均年齢 17歳) …以降の集計結果は有効回答204通についてのものになります。 1. 保険の加入状況 保険の加入状況は下の【図1】のようになっています。保険に加入している方は67%(すんなり加入できた方が52%、加入を拒否されたことがあるが現在は加入している方が15%)で、加入していない方は33%(うち加入を拒否された方は13%)でした。 2. すんなり加入できた方にその理由をうかがってみたところ、77%もの方々が病名(PKU)を申込書に記載していませんでした【図2】。もしも全ての方が病名を記載していたら【図1】の比率は大きく変わっていたことと思われます。また【図3】のように病名を記載せずに加入したのは郵便局の学資保険に最も多く見られます。 3. 各保険に加入できた方、拒否された方の人数をあらわしたのが【図4】です。加入を試みた方(加入+拒否)が最も多かった(最もニーズが高かった)のは郵便局の学資保険でしたが、拒否された率も最も高かったという結果が出ています。 4. 平成15年4月1日以降の状況 平成15年3月25日に郵政事業庁(当時)から「簡易保険契約への加入の機会拡大について」という文書が発表されました。(詳しくは郵政公社ホームページ:http://www.japanpost.jp/pressrelease/japanese/kani/030325j401.html を参照して下さい) これにより同年4月1日以降はPKUの患児も簡保に加入できる事になったはずなのですが、アンケートの結果によりますと、9家族が加入を試み5家族が拒否(2家族は保険担当者にPKUであることを告げた時点で断られ、3家族は審査を受けて断られていた)され、加入できた4家族のうち病名を告げなかった1家族を除く3家族全員が入院特約を拒否されていました。公式に文書を発表したあとも決して事態は改善されていない事が浮き彫りになっています。 5. また、PKUと同時に加入の機会が拡大されたはずのクレチン症の方々の中でも簡保への加入が拒否された事例が報告されているそうです。今後、加入を拒否された方の具体的な情報の入手をはかり、関係各機関と協力しながら事態の改善を郵政公社に働きかけていかなければならないと思っています。